ぶらり、大山 〜大山の不思議と素敵を語る〜
[第31回]大山は野鳥の宝庫 ~さえずりに癒される~
(写真:オオルリ)
鳥たちの朝は早い。今の季節、東の空が曙(あけぼの)色に輝き始めるころには、にぎやかなさえずりがブナの森に響きわたっている。遠くからツツドリ(筒鳥)の「ポポ、ポポ」と竹筒をたたくような規則正しい声やカッコウ(郭公)の鳴き声が聞こえてくる。
キツツキ(啄木鳥)の仲間のドラミング(くちばしで木をつつく音)が木立の間に響く。大山で見られるキツツキの仲間は、アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、コゲラの4種類である。「ピョー、ピョー、ピョー」と口笛のような鋭い声はアオゲラ。私たちに身近な、横断歩道の歩行者用信号機から聞こえてくる音は、アオゲラとカッコウの鳴き声がもとになっているとか。
阿弥陀堂のあたりを歩くと、ブナ林から「ピッポプリ」とキビタキ(黄鶲)の鳴き声が聞こえてくる。キビタキのオスは、喉から胸にかけての橙色から黄色がよく目立つが、木々の中ほどを飛び回っていることが多く、なかなか見つけられない。歌うようにさえずることから、「森の歌姫」と呼ばれる。
渓流の近くではオオルリ(大瑠璃)の姿が。オスは頭から背にかけての鮮やかな瑠璃色と腹の白色とのコントラストが美しい。見通しのよい木のてっぺんにとまり、美しい鳴き声を聞かせてくれる。ウグイス、コマドリとともに「日本の三鳴鳥」といわれる。
野鳥の宝庫といわれる大山山系では、200種をこえる鳥が確認されている。豊かな環境が残されているところには、鳥の種類も多い。大山の環境が保護されることで、これからも多くの野鳥と出合えることを願う。
(写真:キビタキ)
(ヒメボタル)