伯耆国「大山開山1300年祭」
記念式典を開催しました
眞子内親王殿下の御臨席のもと、伯耆国「大山開山1300年祭」記念式典を開催しました。1300年に及ぶ大山圏域の歴史、文化、自然等の素晴らしさ、かけがえのなさを再確認し、新たな気持ちで地域の歴史に向き合い、次の100年に活かしていくことを誓い合う場となりました。
大山小学校6年生(10名)、大神山神社禰宜の相見正邦氏、大山ブロッコリー生産者の國岡俊平氏、大山山岳ガイドの上野紀代子氏、大山寺観証院住職の清水豪賢氏等による「大山への誓い」では、大山の歴史や文化を学び伝え、自然を守り育てること、地域を愛する思いや願いを県内外に発信することなどを誓い、「私たちは大山とともにある。大山さん、ありがとう」と感謝を表現しました。
■日時 | 平成30年8月9日(木) 10:00~14:30 |
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■会場 | 米子市公会堂(米子市角盤町) |
■出席者 | 約900名
鳥取県選出国会議員、県議会議員、関係自治体議員、1300年祭アドバイザー等支援関係者、一般参加者等 |
■概要 |
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主催者挨拶
鳥取県知事平井 伸治
本日ここに、眞子内親王殿下の御臨席を仰ぎ、数々の御来賓の皆様、山の日協議会の磯野理事長はじめ、全国各地の方々、そして松村実行委員会会長はじめ、この1300年祭の実行組織の関係者の皆様、御後援いただきました数々の企業様、団体の皆様をお迎えいたしまして、セレモニーを開催することがかないました。主催者の一角といたしまして、心から感謝申し上げますとともに、眞子内親王殿下はじめ、御臨席のみなさまのご来駕に感謝申し上げます。
まずもって、現在西日本豪雨の災禍に苦しんでおられます、被災地の皆様、被災者の皆様に心からお悼みとお見舞いを申し上げます。私もこの後、広島・岡山へ向かい両県知事とお会いし、今後鳥取県として、また全国を通じまして、様々な支援をやっていく話し合いをすることにいたしております。
眞子内親王殿下におかれましては、鳥取県中部地震の直後にもお見えいただきました。いかに私ども鳥取県民が励まされたことか、忘れることはできません。
「山深く さこそ心はかよふとも 住まであはれを 知らんものかは」
これは、西行法師の和歌で、後水尾(ごみずのお)院の御宸翰として大山寺に残されているものです。
自然は時に猛威を振るいますが、普段は優しく、慈愛に満ち、そして威厳を持ち、私たちに恵みをあたえてくれる大切なパートナーであります。
大山もそういう歩みをこれまで1300年進めてきました。私たちは「大山さん」と敬慕の念を表すものであります。大山は日本有数のサンクチュアリであります。例えばダイセンキスミレ、あるいはダイセンミツバツツジなど固有種がございますし、天皇陛下も御覧になりましたダイセンキャラボクは、今も皇居に植えられています。こうした貴重な生態系はもとよりとして、私たちはそこで生まれるおいしい水から恵みを受け、里の幸、山の幸、海の幸を享受しています。
考えてみますと、1300年前にこの大山寺が開かれて、それから様々な事があり、また大山は国の中枢とも関わってきました。例えばこんな説話が「大山寺縁起」に載っています。玉清姫(たまきよひめ)という絶世の美女がおりました。ちょうど大山寺開創の1300年前頃の話です。時の帝に見初められ、子をもうけられ、その子が次の帝となります。玉清姫は大山に残した父母を思ってやまないため、ご結婚されました帝が心配をされ、詠まれます。
「はゝき(伯耆)には 雲にかけはし大山寺 妻木(つまき)の里のあると社(こそ)きけ」
「妻木(つまき)の里」という言葉が後に妻木(むき)という地名になったとも伝えられています。清見寺(朝妻寺)に関わるお話です。
名僧として知られる栄西を教えた基好上人(きこうしょうにん)は、天皇の御前におきまして、秘法を講じ、帝の難病を治癒させたと伝えられています。また名和長年の弟であった大山寺の僧兵、信濃坊源盛(しなのぼうげんせい)が後醍醐天皇を擁し、船上山の行宮(あんぐう)にいち早く参じなければ、おそらく鎌倉時代に終止符は打たれなかったわけです。
大山では、地蔵菩薩がその信仰対象であることから、生き物が保護されてきました。また山に入ることが禁じられたからこそ、美しい自然が残されてきました。お地蔵さまは牛馬を愛する、生き物に対する慈愛をくださるがゆえに、この大山におきまして牛馬の信仰、牛馬市が行われ、これが今日の畜産業にもつながっているわけです。
このように考えてまいりますと、かの依道が、矢により金の狼を射ようとして、そこに地蔵様が立ち現われなかったら、すべては起こらなかったわけです。
美しい自然も、大山の恵みも、またこの国の形も、違った姿になっていたはずであります。
私たちの大山。1300年の年を迎え、1300年の時を今日振り返りながら、これから私たちが歩んでいく、ともに生きて行く、そういう決意を固める日を迎えました。それが今日の記念式典であります。
「おお、大山!いや、大山さん、おんみは私の親父。永遠に慈愛と威厳をもつ、母なるふるさとの父よ。」
そのように語りかけたのは大江賢次です。御身がいなければ、どんなにかこの恩寵を賜ることが出来なかったか、そのように述懐されています。大江賢次は「望郷」という作品に、こうした一節を記しました。「大山さん」への敬慕を、常に心のど真ん中に持ち続けたのです。
私たちは、これからも、大山さんとともに生きていきます。大山さんのおかげで、生きていきます。
大山さん、ありがとう。大山さん、だんだん。
結びに眞子内親王殿下の益々の弥栄(いやさか)とご列席の皆様のご健勝、そしてわがふるさと大山、この国の繁栄をお祈り申し上げまして私からの御礼に代えさせていただきます。
本日は本当にありがとうございました。
伯耆国「大山開山1300年祭」実行委員会会長
松村 順史
皆様おはようございます。ただいまご紹介いただきました伯耆国「大山開山1300年祭」実行委員会会長を務めさせていただいております松村順史でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず本日ここに伯耆国「大山開山1300年祭」の記念式典を開催させていただきましたところ、公務ご多忙の中、眞子内親王殿下のご臨席を賜りました。大変光栄に存じます。心より御礼申し上げます。また県内外より多数のご来賓の皆様、そしてなにより地元鳥取県西部地区の皆様多数のご出席をいただきました。大変感激をしております。本当にありがとうございます。5月20日より公式にスタートいたしました大山開山1300年祭の取り組みでございますが、皆様方のおかげを持ちまして順調に推移をさせていただいております。本当にありがとうございます。
私はこの度の大役をお引き受けするに当たり、目指しました事が二つございました。まず一つは、この節目になんとか我々の地域を、この大山圏域を国内外にアピールし、多くの観光客の皆様にお越しいただき、当地の魅力を存分に味わっていただきたいということでございます。そして、この機会に地元の産品を国内外に売り込むことで地元を元気にさせていただきたいと思いました。観光客の皆様にお越しいただければ必ずや私どもの地域のファンになっていただく自信はございます。キーは数多くの観光地の中からいかに我々の地域をお選びいただくかでございます。関係各位の皆様のご助力をいただき、先の豪雨災害の影響は大変大きいものでございますが、関東、首都圏、関西圏を中心に大きくアピールをさせていただけたと思っております。
他方、地元産品の開発・拡販につきましては多くの地元の企業の方また団体の方にご協力をいただきました。中でも杉原会長に率いていただきました大山ブランド会さんにおかれましては、地元約100社の食品加工業・販売業の皆様にお力を合わせていただき、大山ブランドの商品を内外への拡販にご尽力をいただき、すでに大きな成果を出していただいております。また土井会長率いるところの名物料理を作る会さんには地元食材をいかしたメニューを作っていただき、メニュー開発を進めていただき、地元のホテル・旅館・飲食店ですでにご提供をいただいております。大事なことは、これらの取り組みはこの大山開山1300年のこの年だけのプロジェクトではなくこれからも長く続くものであり、当地のこれからの経済発展に大きく寄与いただけるものと確信をいたしております。
そしてもう一つはこの開山1300年の節目は地元に住まわせていただく我々が改めて大山さんに向き合わさせていただく絶好の機会であると考えたことであります。私事でございますが、二十数年前に当地にUターンをして参りました。戻らせていただいて天気の良い日、毎日大山さんを見せていただき嬉しかったこと、また鳥取県内各地から見させていただく大山さんのお顔が変わること、日々励ましていただきましたことを今でもよく覚えております。ただ、そういった非日常は時の経過とともに日常に変わります。我々が愛情、敬意、感謝、時としては畏敬の思いも込めて大山さんとさんづけでお呼びいたします。このお山にこの機会に改めて向き合わさせていただくことで大山さんの有形・無形の存在に感謝申し上げ、この地に住まわせていただくことの喜びと誇りを再認識すべきという思いでございました。
そのために何をすべきか考えた結果、この地域の歴史・文化・自然をこの機会に学び直すことが必要であるという考えに至りました。この点につきまして平井知事始め、鳥取県の担当部局の皆様、また圏域の各市町村様には数多くの取り組みを展開いただいておりますことを心より御礼を申し上げます。現在は米子市美術館におきまして、大変貴重な地元の刀剣を中心に大山山麓の至宝展を開催させていただいており、昨日は眞子内親王殿下にもご覧をいただきました。皆様にも是非ご覧いただき、1300年という歴史に思いを馳せていただきたいと思います。
私は歴史という学問は単に過去を学ぶ学問ではなく、ましてやそれを記憶する学問ではないと考えております。歴史という学問は過去を学ぶことで今が分かり、そして上手くすると近未来まで思いを馳せることができる大変素敵な学問であります。是非、皆様方と共に学び、思いを深くさせていただきたいと存じます。そして我々はそれを次の世代に繋ぐ責務を持っております。それが真の意味でのふるさと教育であると私は信じます。時代を担う子ども達には十分学び、この地に生まれ育つ幸せを一生大事にしてほしいという思いでございます。
結びになりますが、大山開山1300年は年間を通じてのプログラムでございます。本日以降も魅力的なプログラムを皆様方にご提供させていただきます。皆様方にもぜひ積極的にご参加いただき、この地域のことを共に考えましょう。そしてこの地域を如何にしたら元気にできるか、それを考えましょう。地域が元気になれば、それは必ずや各企業にそして各家庭に返ってくると私は信じます。皆様方の引き続いてのご協力をよろしくよろしくお願い申し上げまして私のご挨拶とさせていただきます。本日は大変ありがとうございます。
眞子内親王殿下 おことば
はじめに、「平成30年7月豪雨」で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。 一昨年、私が鳥取県西部を訪問いたしました折には、直前に発生した鳥取県中部地震により、多くの被害がありましたが、昨日、復興が進んでいる様子をうかがいました。 地震災害からの復興と、先月の豪雨災害からの復旧や、岡山県、広島県への支援に対する皆様のご尽力に対し、深く敬意を表します。
本日、「伯耆国『大山開山1300年祭』記念式典」が開催され、皆様とともに出席できましたことを、大変うれしく思います。
大山は、「伯耆国なる火神岳」として、出雲の国風土記にもその存在が記されています。古くから人々の心の拠り所として敬われ、親しまれ、水と緑を育んできました。そして、開山から1300年を迎えた本年、多くの人々が力を合わせて、大山と、その恵みを受けた地域の特色を、広く伝えようとする取り組みが行われています。
昨日、私は、特別展示「大山山麓の至宝展」にて、大山を中心とした歴史や文化に触れ、豊かな自然による美しい風景を楽しみ、大山の大献灯を拝見いたしました。又、様々な方々にお目にかかり、お話をすることが出来ました。このように、大山と、この地域の魅力に触れる機会をいただきましたことを、有り難く思います。
長い歴史と、豊かな自然環境のもとで育まれ、積み重ねられてきた、大山の様々な恵みの価値が再確認され、国内外に知られていくことは、誠に意義深いことと思います。皆様のご活躍が実を結び、「伯耆国大山」が、多くの人に笑顔や憩いをもたらしますことを願い、式典に寄せることばといたします。
ご来賓祝辞
舞立 昇治 参議院議員
鳥取県選出の舞立参議院議員から来賓としてご祝辞をいただきました。
歓迎あいさつ
伊木 隆司 米子市長
竹口 大紀 大山町長
地元市町村を代表し、
伊木米子市長、竹口大山町長から
歓迎あいさつをいただきました。
大山への誓い
地元大山町学校6年生と大山所縁の方々による「大山への誓い」が発表されました。
【子どもたち】
大山と一緒に大きくなった私たち、みんなで一緒に誓いましょう。- 大山の歴史を学び、ここで育つことを誇りにします。
- 大山の文化を学び、大切に受け継いでいきます。
- 大山の自然を守り、もっと豊かにしていきます。
- そして私たちを見守り、育ててくれた大山とこの地の素晴らしさを未来に伝えていきます。
【大人】
いま、この時代を担う私たちは、未来を生きる子どもたちの思いを受け止め、誓います。- 大山とこの地域が培ってきた歴史や文化を見つめなおし、美しい自然とともに未来へ伝え残していきます。
- 子供たちと私たちのこの地域を愛する思いや願いを、県内外の方々に向け発信していきます。
- 人々の安寧を守り続けてきた「大山さん」とともに、次の100年に向けて新たな歴史を刻みながら、未来に向けて歩みを進めていきます。
【全員で】
誓いとともに感謝と願いを込めて声高らかに叫ぼう。
私たちは大山とともにある。
「大山さん」、ありがとう。
■登壇者紹介 |
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記念講演
「“その時歴史が動いた”の現場から」と題して、松平定知氏に、これまでの取材経験を元に講演していただきました。歴史をひも解き、考察する楽しみ方、また大山の歴史に関する考察なども、楽しくお話いただきました。
記念コンサート
地元米子市出身で国内外で活躍するジャズピアニストの松本茜さんによる記念コンサートを行いました。大山賛歌のジャズアレンジの演奏や、子どものころ親しんだ地元の風景にちなんだ曲の演奏などで、ゆったりとおしゃれな時間を演出していただきました。
交流レセプション
記念式典前日には、眞子内親王殿下のご臨席を賜り、記念式典の参加者や、おもてなし料理の開発に関わった方々などを招待し、地元食材を使った料理を提供し、交流レセプションを開催しました。 おもてなし料理を開発し、当日も調理を手伝った県立米子南高校の生徒や翌日の記念式典で合唱を披露する鳥取大学医学部混声合唱団SPROUTのメンバーなどへは、眞子内親王殿下からお声かけもいただき、和やかな雰囲気となりました。
会場には、おもてなし料理や大山周辺の特産品の展示と併せて伯耆国「大山開山1300年祭」記念刀及び人形作品「御幸(御輿行幸)」、山の日記念全国大会in鳥取開催記念「大山フォトコンテスト」の入賞作品9作品を展示しました。さらにアトラクションとして、大山町出身でニューヨークで活動しているジャズシンガー、おかある星野LOVEさんのコンサートも開催しました。
■日時 | 8月8日(水)午後5時30分から |
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■会場 | ロイヤルホテル大山(西伯郡伯耆町丸山) |
■出席者 | 107名
眞子内親王殿下、鳥取県知事、鳥取県選出国会議員、鳥取県議会議員、関係自治体議員、大山開山1300年祭アドバイザー等支援関係者、おもてなし料理創作関係者(米子南高生)等 |